社葬の意義と特徴
ほとんどのお葬式は、遺族が主体となって執り行いますが、会社に多大な貢献をした人の場合、会社が主体となって社葬を執り行うことも少なくありません。これは、会社が一方的に行うものではなく、あくまでも喪主や遺族に了承を得た上で進めていくものです。社葬の場合、会社が葬儀の方針を決めて取り仕切るため、葬儀にかかる費用も会社が負担するのが基本です(会社と遺族の経費負担の線引きについてはのちほど詳しく解説します)。
社葬には、次のような意義があります。
●顧客や取引先に対して故人の逝去を広く知らせる
●事業承継が円滑に進んでいることをアピールする
●従業員の意思を統一し、結束を高める
何よりも会社として哀悼の意を表するだけでなく、今後の事業が滞ることがないよう社内の結束を高め、円滑な事業継承を社外にアピールする意味合いもあるのです。会社のトップがいなくなったあとの社葬がスムーズに営まれることは、今後の事業への安心感につながります。
社葬のさまざまなスタイル
社葬とは、あくまでも会社が主体となる葬儀の総称で、内容はさまざまなスタイルが選ばれています。
社葬と合同葬
社葬によく似たものに「合同葬」と呼ばれるものがあります。一般的な社葬は、ご逝去直後、まずは家族主体となる葬儀と火葬を行います(密葬)。その後、約1か月後に、会社が主体となって社葬やお別れの会を催します(本葬)。この場合、密葬や本葬にかかる費用は会社の経費として損金処理できますが、負担の線引きは個別の話し合いで決めます。
これに対して合同葬では、家族と会社が合同で葬儀を主催します。葬儀費用の分担も、両者が話し合って決めます。また、合同葬の場合は、ご逝去後5日~10日以内を目安に、密葬と本葬のように日を開けることなく、2日間にまたいで通夜と葬儀を執り行います。
社葬の宗教スタイル
社葬では、身内による供養と、対外的な広報という、ふたつの側面をバランスよく行うことを考えなければなりません。密葬と本葬を分ける場合はシンプルです。密葬をその家の宗教形式で執り行い、多くの人が参列する本葬は、特定の宗教色を排したお別れ会にすることもできます。
一方、合同葬の場合は家族による供養と対外的な広報を一度に行うことになりますので、あくまでも家の菩提寺に来ていただくなど、その家の宗教に沿って葬儀を進めていきます。
誰を社葬で弔うか
会社の創業者や現職のトップ
会社の創業者や会長、社長経験者の葬儀は、社葬で行われることが多いようです。また会社によっては副社長、執行役員などの現職のトップの葬儀も社葬にします。
会社の発展に寄与した功労者
経営陣や役員ではないものの、特に目覚ましい功績をあげた社員や、会社の発展に大きく寄与した人物の葬儀を社葬にすることもあります。
業務中に亡くなった社員
現職の社員が業務中に亡くなってしまった場合、故人に哀悼を表し、遺族や遺された社員をいたわる姿勢を示すために、社葬にするケースもあります。
社葬における「喪主」「施主」「葬儀委員長」
喪主
喪主とは、喪に服する主体のことです。社葬の時でも、喪主は遺族の代表者が務めます。もしも家族経営の会社のように比較的小規模の社葬など、葬儀委員長を決めずに喪主だけを立てる場合もあります。
施主
施主とは、葬儀を取り仕切り、費用の負担をする人物のことです。最近の一般葬では、喪主と施主を同一人物が担うことが当たり前となりましたが、社葬の場合は会社が施主を務め、その筆頭となる人のことを「葬儀委員長」と呼びます。
葬儀委員長
社葬を運営する上での実質的なトップが葬儀委員長です。誰が葬儀委員長になるかは社葬内規に定められています。一般的には会長が亡くなった場合には社長が、社長が亡くなった場合は次の社長が、といった具合に、後継者にあたる人が務めます。また、社葬が円滑に進むよう、葬儀委員長の下には葬儀委員が組織されます。
会場選びのポイント
社葬の場所はさまざまです。葬儀社の葬祭ホール、公営斎場、寺院などが挙げられます。お別れ会の場合はホテルを利用することもあります。
会場選びのポイントは以下の通りです。
会場の大きさ
社葬で最も大切なのは、参列者を収容できるだけの会場の確保です。社葬では、数百人から数千人規模の参列者も珍しくありません。それだけの座席が並ぶかどうかに加えて、焼香やお別れまでの導線、待機場所、飲食のおもてなし会場など、さまざまな面で多数の参列者を受け入れられるかどうかを念頭に入れて、会場を決めていきましょう。
アクセスの利便性
参列者が来場しやすいかどうかも重要ポイントです。公共交通機関のアクセス、駐車場の広さなどを確認します。
会場の利用料金
会場の利用料金は、規模が大きくなればなるほど高額になっていく傾向にあります。
遺骨や遺体の安置の可否成
お別れ会などをホテルで希望される方は特に注意です。遺体のご安置は原則不可ですし、遺骨の持ち込みもホテルによってはできないこともあります。
社葬の流れ
ここまで、社葬がどのようなものなのか、その概略をお伝えしてきました。ここからは、社葬の具体的な流れを、故人のご逝去から順に解説していきます。ここでは、故人の死後数日後に、まず先に家族や親族で密葬を済ませ、1か月後に本葬として、仏式葬儀を執り行うものとします。
ご逝去~基本方針の決定
▷ 逝去・訃報
ご逝去の訃報が届いたら、まずは遺族に最大限の配慮を示しましょう。迷惑でなければ病院まで駆けつけられること、それができないならできる限りのサポートをする旨を伝えます。その後、社葬内規に基づき、各関係者へ緊急連絡をしていきます。訃報は深夜に入ることもあるので、予め連絡網や、代表の連絡先を決めておくと良いでしょう。こうした一連の流れがスムーズにいくためにも、社葬内規や社葬対応マニュアルを作成しておくと安心です。
▷ 遺族の承諾を得る
社葬内規に基づき、故人が社葬対象者であるならば、社葬を希望する旨を遺族に申し出ます。この際、密葬と本葬を分けるのか、それとも合同葬にするのか、大まかな方針だけ決めるようにしましょう。
▷ 緊急役員会の開催
社葬の実施が決まったら、速やかに緊急役員会を実施します。ここでは、主に以下の基本方針を決定していきます。
●葬儀委員長の決定
●葬儀委員の組織
●施行葬儀社の選定
●日程と場所
●規模とスタイル
●概算予算
●香典、供花、供物の内容
詳細に関しては葬儀社や各部署との折衝が必要となるため、ここで基本方針を決めるだけで充分です。また、役員会の内容は議事録にまとめておきます。
▷ 密葬の実施
家族や親族を中心に、密葬が行われます。通夜、葬儀・告別式、そして火葬をします。遺族が了承をするのであれば、会社から代表者数人が参列しても構いません。
社葬の準備
▷ 葬儀委員の組織
社葬を滞りなく実施するために、葬儀委員を組織します。葬儀委員は次のような部署で組織し、社葬の手配、準備、当日の案内などに備えます。指示系統を明確にし、組織立って社葬を運営できるよう務めます。そのために、マニュアルやタイムスケジュールを作成、社内の事前説明会の実施などが必要となるでしょう。
▷ 社内通知
社葬の概要がまとまると、速やかに社内に通知をします。誰が亡くなったのか、葬儀委員長は誰か、社葬の日程と場所、社外からの問い合わせに対しての対応などを統一しておきます。また、社員の参列の可否なども早めに伝達し、情報の共有をしておきましょう。
▷ 社外通知
社葬の日程や場所、形式などの詳細が決まったら、社外通知に取り掛かります。送付リストをまとめ、案内状を作成し、発送します。また、新聞の死亡広告を出すこともできますし、故人が著名な方であれば死亡記事として取り上げてくれます。特に重要な取引先や関係先に対しては、案内状の送付の後に担当者から確認の連絡を入れるようにします。また、案内状や死亡通知には問い合わせ窓口の連絡先を記載するため、統一した対応がとれるよう、社内体制を整えておきます。
▷ 来賓対応
会社にとって重要な来賓に対しては、特に失礼がないよう対応します。事前に担当の案内係ないし接待係を選定します。また、弔辞者が決まったら速やかに依頼をし、その他にも指名焼香者や座席の場所を決めておきます。
▷ 参列者対応
おおよその参列者人数を計算して、それに見合った準備をします。最寄りの駅から会場までの間の立札ないしスタッフの配置、式次第や会葬礼状の準備、式場内の導線の確保などが挙げられます。
▷ 会場内の設営物や装飾品
会場内のレイアウト、祭壇、各展示物など、葬儀社と相談して決めていきます。遺影に用いる画像の準備、略歴紹介のための故人の来歴の調査なども必要となってきます。
▷ 供花・供物・弔電の整理
供花や供物や弔電をいただいた方の名前の確認、札順などを決めます。特に弔電は式典内で数通読み上げるため、どれを紹介するかを選定し、名前の読み方などを確認しておきます。
▷ リハーサル
実際の会場でリハーサルを行ない、社葬当日に備えます。
社葬当日(開式前)
▷ 関係者集合
葬儀委員長、葬儀委員の社員は開式2〜3時間前を目安に会場に到着します。最終ミーティングを行い、万全の態勢で参列者の受け入れの準備を整えます。
▷ 供花・供物・弔電の最終確認
いただいた供花や供物の札順ならびに名前に間違いがないか、また式典内で読みあげる弔電に間違いがないか、最終確認をします。
▷ 受付開始
開式1時間前を目安に受付を開始します。参列者を受付に案内し、記帳を促します。来賓が到着したら接待係が控室に案内します。
▷ 遺族と遺骨のお迎え
遺族や親族が故人の遺骨をもって来場したら速やかにお迎えします。遺骨を祭壇中央に安置し、親族を控室に案内します。
▷ 宗教者のお迎え
導師を務める宗教者が来場したら、控室に案内し、式典の流れを確認します。
▷ 弔辞者との打合せ
式典の中で弔辞を読んで下さる方が来場したら、速やかに、座席の位置や流れの確認をします。
▷ 着席
開式10分前を目安に、参列者は式場内の座席に着席します。接待係は来賓を指定の席まで案内します。また、式場内に座りきれない場合、参列者を待機場に案内します。
社葬当日(葬儀・告別式)
▷ 導師入場
導師(僧侶)が入場します。合掌でお迎えします。
▷ 開式
司会者が開式を述べて、社葬が始まります。
▷ 読経
僧侶による読経を心静かに聴きます。
▷ 弔辞
弔辞者が故人に向けて最後のお別れの言葉を述べます。
▷ 弔電
各方面からいただいた弔電を数通紹介します。
▷ 葬儀委員長挨拶
葬儀委員長から参列者に向けて挨拶をします。
▷ 喪主挨拶
遺族を代表して、喪主が挨拶をします。
▷ 指名焼香
喪主、葬儀委員長、弔辞者、来賓の順で、特に重要な人物から焼香を行います。
▷ 焼香
遺族、親族、参列者の順に、焼香をします。
▷ 導師退場・閉式
導師が退場し、司会者が閉式を述べて、閉式となります。
▷ 閉式の挨拶・遺骨の退場
葬儀委員長が、社葬を終えたことを告げます。そして喪主や遺族が遺骨をもって退場します。
社葬終了後
▷ 各方面への挨拶
まずは遺族、弔辞者や来賓など、社葬を進行する上でお世話になった方々に挨拶をします。必要であれば、参列者に対しても担当者が個別に挨拶をします。
▷ 記録の整理
会葬帳や香典の管理、写真やビデオなど、社葬に関するもろもろの記録を整理します。加えて葬儀委員による反省会を実施することで、次に行われる社葬に生かすことができます。
▷ 費用の精算、経費の確認
葬儀社や関係各所に費用を精算します。また、社葬にかかった経費の確認をします。
社葬にかかる費用の税法上の取り扱い
社葬は会社の行事ですから、社葬にかかる費用を経費として損金処理できます。国税庁は次のような通達を出しています。
また、会葬者が持参した香典等については、法人の収入としないで遺族の収入とすることができます。(法基通9-7-19)
とはいえ、社葬にかかる全ての費用を損金処理できるわけではありません。家族による「供養」の部分など、損金計上が認められない項目もあります。
損金計上できるもの
▷ 葬儀に必要な物品など
祭壇、棺、遺影、宗教用具、司会進行、受付用具、供花、会場利用料、駐車場代、映像や展示の制作費など
▷ 寺院費用
宗教者へのお布施(読経料のみ。戒名料は遺族負担)
▷ 飲食接待費
会場内での飲食や、参列者への返礼品の費用
▷ その他の雑費
告知に用いる文書代、新聞広告費、記録のためのカメラマンの手配など
損金計上できないもの
式典の開催とは関係のない費用は、会社が負担すべきものではないため、損金計上できません。
●香典返し(香典は会社ではなく遺族の収入になるため)
●火葬料
●葬儀後の法事や供養(仏壇、位牌、墓など)の費用
社葬は会社の今後を左右することにもなりかねない、とても大切な会社行事です。規模も大きく、連絡しなければ相手も多いため、慎重に進行しなければなりません。 社葬の成功は、実績豊富な葬儀社の選定が大きなポイントです。社葬について詳しく知りたい方、検討されている方は、私たち西田葬儀社に、まずはお気軽にご相談下さい。
社葬・お別れ会をお考えの方、
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会社情報
会社名 | 株式会社西田葬儀社 |
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